ポットスティルみてた? [アート(藤沢)]
このところ地元、藤沢の活動企画にかかわる機会が多く、
いろいろと模索を続けていますが、必然的にかかわりのできた場所、
周辺や町自体についても、歴史を抜きにはできません。
例えばこのところ気にかかって調べたり、絵にも描いたりしているのが、
現在の南藤沢付近のこと。今、ディスカウントスーパー・OK藤沢店の
ある場所には1927(昭和2)年に創業された「東京醸造」という酒造メーカーの
工場(醸造所)があったそうです。1937(昭和12)年に国産では2番目の
本格的なモルト・ウイスキーである「トミー・ウイスキー」を発売しました。
(藤沢市文書館調べ)
1950年代半ばには倒産してしまいますが、その後僅かの間寿屋(現・サントリー)
が関東方面進出の足場として操業していたそうです。
(神奈川県立川崎図書館社史コレクション/サントリー百年史より)
そしてこの場所の斜向いの山内病院には、現在も大変立派な楠が聳ています。
HPで拝見すると「楠とともに80余年の歩み・・・」とあります。
お尋ねしたところ総務課の方によると開院時、既にあったようだが、
それ以上の詳細は不明とのこと。
現地は買い物等、日常も含めて頻繁に訪れる場所ですが、以前から妙に気になる
磁場のあるところだったのです。今回、図らずも歴史的な特性に触れることができて
嬉しく思いました。
ここからは私ならではで、かっとび気味になりますが、楠にはそれを食草とする
代表的な昆虫として揚羽蝶の一種、アオスジアゲハと山繭科の大型の蛾である
クスサン(楠蚕)があります。80余年、この地の変容と共にあったこの楠では
おそらく、これらの虫達も代を重ね、その命を繋いできたことでしょう。
その眼差しの、あるいは記憶のどこかにはもしかしたら、かつて目の前に有った
例の醸造所の景色もうつっていたかも知れません。
そんな絵です。
「ポットスティルみてた?」 アルビレオ紙、アクリル、水性色鉛筆
2010-05-01 01:55
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絹の繭は蚕蛾由来ということになっているのですが,
ヤママユガのような野蚕由来のものもあるそうです.
工房のまわりにも薄い黄緑色の繭が木にぶらさがって
いるのですが,たぶんこれがヤママユガの繭でしょう.
この野蚕の繭からの生糸を得る技術はすっかり廃れて,
今ではほんの少数が生糸にする技術を保存しているとか.
タイ・シルクは逆にこの野蚕からの糸を生かして,新しい
デザインのもと復興しました.試みにショールを買って
みたのですが,西陣のような洗練さとは違った味で面白い
ですね.クスサンの繭はさすがに生糸にする試みは無い
ようです.まあ,あの毛虫を見たら引けるでしょう.
蒸留釜の話には驚きました.寿屋ですか!白州サントリーの
ガイドでは釜の形に改良を加えているとのことなので,昔のタイプ
のなかには捨てられてしまったものもあるにちがいありません.
”何もたさない,何もひかない”とかいうちょっとうそっぽいCM
ありませんでした?
by symplexus (2010-05-04 00:01)
symplexus様 「凍る地球〜」は読み応えありましたし、ご賢察に
感銘を受けました。結局、計り知れないものごとに相対する姿勢の問題が大きいことをつくづく考えます。
それと蛾のお話。うちの敷地にもさほど大きくないが楠が一本あります。昨年明らかに山繭科の幼虫を見つけたのですが、毛が少なく、体色にも鮮やかな黄や水色も入っていて、明らかに「シロガタロウ」とかの俗称で呼ばれるクスサンの子ではありませんでした。
図鑑等で調べたところ、どうもシンジュサンの子のようでした。楠にもつくようですね。そういえば随分昔、羽化したての成虫も見た記憶があります。
by 直itoh (2010-05-04 01:56)
「凍る地球・・」のブログ,読んでいただいてありがとうございます.
主題がこれですから,どうしてもしっこい文章になってしまい,
読了は障害物競走のようになっているようです.
これが少年向け小説というのが驚くべきところ,
海野十三の作の「四次元漂流」なども「子供の科学」に連載でした.
ところで関連ドローイング,線のうねりが生き物のようですね.
前のボブ・ディランのイメージのものとはまったくちがっていて面白いです.
ドラクロアの線描を思い出してしまいました.
by symplexus (2010-05-06 21:18)