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Midlake “The Courage of Others” [アート・ロック]

米、テキサス出身のロックバンド、ミッドレイクの新作が出た。
タイトル“The Courage of Others”は直訳すれば「他者の勇気」か。
前作“The Trials of Van Occupanther ”からは3年半ぶりくらいだろうか。

まあ相変わらず・・・。ジャケからして前以上に
「何時の時代のどこのどなた?」している。
音的にはフォーキーなロックという点では共通点もあるが、
前作がアメリカのルーツミュージック的感触が顕著だったのと比較すると、
今作はむしろイギリスのトラッド系の影響が感じられる。連想したのは
ペンタングルとか初期ストローブスあたりだが、実際メンバーからはこの他に
フェアポートコンベンションとかスティーライ・スパン、
アメイジング・ブロンデルなどの名が挙げられている様だ。

メインソングライターのティム・スミスは「古いものが好き」と言うし実際、
明らかに厭世的で、隠遁や逃避的なムードは音にも詩にもある。しかし後ろ向きな
ばかりかというとそうではない。この表現は最近聴いたものの中で飛び向けて
「人と社会あるいは世界を律するもの」に忠実であろうとしているかの様だ。

[カレッジ・オブ・アザーズ]訳(解説書より)
他の人々のような勇気を僕は持てないかもしれない
君に近付こうとすらしないだろう
常に様々なことを気に掛けているようにと教わったんだ
自分ではコントロールできない沢山のことを

どうすればあんな勇気を持てるのだろうか
絶えて久しい君主の勇気を

それは彼らの手の内にある、それは彼らの頭の中にある
それは長年に亘り、彼らの血に脈々と流れ続けている
それが彼に悲しみをもたらすんだ
暗い部屋で独りで震えている彼のもとに


ロックやポップスにありがち(と見られがち)な「勘違いな自由や開放感」とは
真逆な表現。それをあえて今、やること自体に込められた意思の強さを
感ぜずにはいられない。彼らには皮肉かも知れないが、私から見てこれは立派な勇気。
たいそうな傑作だと思う。こうした精神性を背後に持つ音楽表現、アーティストというと
国も世代も異なるが、結局深いところで通ずるのはvan der graaf generator
(Peter Hammill)だったりするのかな?などと考えさせられている。

なお、このところの気候は寒さ続きだが、聴くときは暖かい環境をおススメします。
一聴した限りではやわらかい、オーガニック音触にもかかわらず、実は先述した精神性故に
やがてどこか張りつめた、ヒヤッとするものが全身に伝わってくるのです。
(下画像・ジャケット)

midlake_courage~J.jpg







 


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