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R.E.M 通算15作目発表(その1・加筆) [アートとアートロック]

 アメリカ、所謂インディ、オルタナロックの草分けであるR.E.Mが、
フルアルバムとしては3年ぶり、通算15作目のcollapse in to nowを
発表した。長年のファンとしては素直に嬉しい。

collapse.jpg

 Rapid Eye movement つまり睡眠の一形態で、人が夢を見る
状態の頭文字から取られたグループ名のこのバンドは、1980年に
結成、実質デビューは1981年とのことで、ほぼ30年のキャリアを
持つ。極初期を除くとほぼ全作を聴いていて、自分の作品制作にあっても、
それ以外の日常の様々な精神状態にあっても、結局、ずっと聴き続けて
非常に親しみも敬愛も抱いてきたバンドである。
 彼等が世に出た当時のアメリカはレーガン政権下の経済不況下で、
その影響からポストパンク、ニューウエイヴの台頭するイギリスとは
大きく異なり、シーンは沈滞し、幾つかの例外を除けば音楽業界は
保守化した情況にあった。しかしこのことがカレッジ・ラジオ局や、
インディペンデントなレコードレーベルの活性化に繋がっていく。
ここからR.E.Mも巣立っていく。

 「ヴェルヴェッツ(アンダーグランド)・ミーツ・バーズ」と評された
そのサウンドはファーストアルバム「マー・マー」の時点で既に、
パンクやカントリー、あるいはフォーク的な要素もありつつ、
他の何にも似ていない。

 下のジャケ写は4枚目のアルバム、ライフス・リッチ・ページェントからの
シングルカット“フォール・オン・ミー”(12インチ版)。この曲については、
モノクロの風景写真に赤字の文字が印象的なビデオを覚えている。
最近でも昨年11月に東京近代美術館の麻生三郎展で印象に残った
「赤い空」シリーズ。作品とそれについての作者本人のコメント飛んだ時
「この空にあって、私達を覆う何か人を押しつぶすようなもの」というイメージと、
とても強く結びついて(他の幾つかの曲とともに)頭の中で響いたりもした。

フォールオンミー.jpg

麻生/赤い空.jpg
 

スカイイズフォーリング.jpg
 
(参考:ルイス・フューレイ/スカイ・イズ・フォーリング)   
 
カリフォルニア.jpg

(参考:レッド・ホット・チリ・ペッパーズ/カリフォルニアケイション)

 1988年にはメジャーレーベルのワーナーに移籍して6枚目のアルバム、
グリーンを発表。ベトナム戦争の枯葉剤を歌った“オレンジ・クラッシュ”は
来日公演のステージでメガフォンを持ってがなっていたマイケル・スタイプの
姿と共に強く心に残っている。
 
 91年、しばらく音沙汰がなかったこのバンドの曲を自分は仕事帰りに
偶然、休んでいたファスト・フード店の有線で耳にする。
一聴して英語の歌詞などわかる訳もないが、哀しげで、何か
「とーっても困っているんだ〜」と聞こえる、R.E.M以外の何者でもない
これが第7作目アウト・オブ・タイムからのシングルで、ついに
全米ヒットチャートでも1位となった「ルージング・マイ・レリジョン」
だった。ロックバンドが宗教」「信心」をテーマとした曲が、大ヒットした
現実は強烈で、我が国と彼の国の違いも考えざるを得なかったことを思い出す。
 このアルバムと次作、92年のオートマティック・フォー・ザ・ピープルが、
このバンドがいわゆる音楽産業のメインストリームに否応無く接近していた
時期だったと言えよう。同時にそれは周囲の反応にも、彼等自身にも
大きな変化をもたらすことになる。(続く)

 
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