プログレッシヴ・ロック試案(2) [プログレッシヴ・ロック]
前回、若い頃一時は、プログレなどほとんどそっちのけでパンク、ニューウエイヴを聴き漁った
時季があったにもかかわらず、突き詰めれば必ずしも「パンク」というジャンルが
好きだった訳でも無くて、アーチスト個別の表現に拠るところが大きい旨は記したが、
これは所謂「プログレ」にあっても同じ構造があるようだ。
その「プログレ忘却時代」にあっても、以前のものをある程度聴き続け、
新作が出れば注意を払ったし、さらに来日コンサートにも足を運んだのが2つだけある。
キング・クリムゾンとピーター・ハミル(ヴァン・ダ−・グラ−フ・ジェネレイタ−)である。
あと、そこまでではないがもう一人のピーター、つまりガブリエルのソロと初期ジェネシス、
カンなど、一部ジャーマン系は結構聴き込んでいた。
反対にほとんど聴かなくなったのが、ピンク・フロイド、イエス、EL&P、キャメル、
フォーカスや一部イタリア系あたりか。
最近改めて聴いてみると、一時期離れたり、食わず嫌いだったものでも、
それなりに楽しめたり、時代との関連で良さや価値を見出せるものもある。
ただ、今日、私にとって他に比類なく、圧倒的なのはヴァン・ダ−・グラ−フ・ジェネレイタ−と
ピーター・ハミルではある。表現の濃度、密度が桁外れであると感じられる。
ある意味、西欧文化・白人音楽(詩的、文学性も含めて)表現の最良のひとつと言って
過言ではないと思われる。勿論、ただでさえ難解といわれ、訳者泣かせとされる詩の
多くを深く理解しているとは到底言えず。あくまでもCD等に付く訳と、公式サイトで有志により
地道に進められている翻訳を読んだ範囲に過ぎぬのだが・・・。
言うまでも無いが、この素晴らしさはプログレだから云々では全く無いし、
ロックであるかどうかさえも最大の拠り所では無いのかも知れない。
「現在進行形の思想と音楽性を有する吟遊詩人」とでも言おうか?
一応ハミルさんご本人は、スタートには(今年、還暦の筈)ブルース等も有ったと
述べておられるようだ。また他方他のメンバーのジャズ的素養や、
時代に沿った歩みの中で新たに吸収していったものも多いだろう。
その結果の総体は、他に例えるものも見当たらないというのが実際のところか。
画像(ハミル・3rdソロ/カン・フューチャ−デイズ)
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